題号は『キネマの玉手箱』に決定!

話は前後するが2019年10月2日に「鬼」「人たらし」「年貢に苦しむ百姓」の3人で、大林プロジェクトの進め方を打ち合わせた。最重要項目は原稿だが、それについては後日、「百姓」がリポートする予定だ。
原稿と並ぶ重要な課題が、本の題号。
大林宣彦監督のメッセージ集を企画した段階では、大林宣彦監督の最新作『Labyrinth of Cinema=海辺の映画館 キネマの玉手箱』(当時のタイトル)から引用して『キネマの玉手箱』としていて、われわれも可能であれば、その題号で本をつくりたかった。
可能であれば、というのは複雑な映画製作の仕組みがよくわからなかったからだ。映画のタイトルからの引用となれば権利上の制約もあろう。実のところでは『キネマの玉手箱』は使用不可になるだろうと諦めていた。『キネマの玉手箱』での提案はダメ元であったのだ。
そこで3人で題号を検討。20以上の案をああでもないこうでもないと激論を交わし、最後に残ったのが『生きる。』だった。癌と闘いながら“生きる”大林監督、孤高の映画作家として“生きる”大林監督、大林監督が尊敬する黒澤明監督の代表作の『生きる』――。3人とも納得して大林監督サイドに提案することになった。
10月23日、大林監督サイドから回答があった。
本の題号は『キネマの玉手箱』にしましょう、と。
代替案の『生きる。』も悪くはないと思っていたのだが、やはり『キネマの玉手箱』でやれるのであれば、それがいちばん納得できるし嬉しいことである。3人で手を取り合って喜び(そんな気持ちの悪いことはしてないが)、プロジェクトへの意欲はいやましたのである。

大林宣彦氏プロフィール

1938年1月9日、広島県尾道市生まれ。映画作家。自主製作映画の先駆者としてCMディレクター、映画監督として活躍、“映像の魔術師”と称されている。1977年に『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。代表作は『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の“尾道三部作”、『この空の花―長岡花火物語』『野のなななのか』『花筐/HANAGATAMI』の“大林的戦争三部作”など多数。2004年に紫綬褒章を受章、2009年に旭日小授章を受章、2019年の文化功労者に選ばれている。2016年8月に肺癌が判明、ステージ4まで進行しており「余命6カ月」、のちに「余命3カ月」と宣告されるが、抗癌剤治療が奏効し、現在は「余命は未定」。2020年4月に最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』が公開。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする