プロジェクトは新たな段階へ

2020/4/4/5:49

昨日の午前10時頃、「人たらし」から「無事入稿しました!」と連絡があり、「鬼」と「人たらし」と「百姓」の出版プロジェクトは完結した。いや、プロジェクトは新たな段階に入る。出来上がった本をどうやって旅立たせるか。倉庫に眠らせておくわけにはいかない。

この本の企画を思いついたときは出版社を起ち上げることなど、まったく考えていなかった。「自分たちの手で大林監督の本をつくりたい」という思いだけだった。そのためにいろいろな人と会い、そのたびに“本を出す”ということの重さを知り、そして夢が膨らんでいった。その夢を実現させる道のりは楽しいだけではなく、苦痛も伴っていた。故郷の先輩であるS氏(TRC図書館流通センターのお偉いさん)が言った「覚悟」とは、きっとそういうことなのだろうと思う。
S氏だけではない。大林宣彦監督との出会いをつくってくれた衛星劇場と「大林宣彦のいつか見た映画館」のスタッフをはじめ、たくさんの人たちの協力なくして、この本はつくれなかった。感謝の気持ちを込めて、奥付には協力者の名前を入れさせてもらった。映画のエンドロールのように見えるといいのだが…。

本の完成というゴールが見え始めた今、とても不思議な違和感を覚えている。
この本は自らが世に出たくて、私や 「人たらし」「百姓」、そして アドバイスしてくれた人たちすべてを動かしたのではないか。つまり『キネマの玉手箱』という本に命が宿って、本そのものが出版までの道筋をつけたのではないか、と。

この本は映画ファン(とりわけ大林ファン)と病気と向き合う人に読んでもらいたかった。つくっているうちに人生を豊かにする啓発本にしての役割も担えるように思えてきた。それであるため帯には「未来を“生きる”ために」というコピーを入れた。
話は最初に戻るが、この本をどうやって旅立たせるか…。もちろん本の販促には尽力していくが、この本自らが必要とされる人のもとに旅立っていくのではないか。そんな気がしてならない。

大林宣彦氏プロフィール

1938年1月9日、広島県尾道市生まれ。映画作家。幼少期より映像の世界に親しみ、CMディレクター、映画監督として活躍。“映像の魔術師”と称されている。1977年に『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。代表作は『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の“尾道三部作”、『この空の花―長岡花火物語』『野のなななのか』『花筐/HANAGATAMI』の“大林的戦争三部作”など多数。2004年に紫綬褒章を受章、2009年に旭日小授章を受章、2019年の文化功労者に選ばれている。2016年8月に肺癌が判明、ステージ4まで進行しており「余命6カ月」、のちに「余命3カ月」と宣告されるが、抗癌剤治療が奏効し、現在は「余命は未定」。2020年、最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』が公開。

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