多くのエールを受けて

2020/4/5/6:16

昨年の夏、「鬼」がトイレの神様に導かれて発動した大林宣彦プロジェクト。あれから9カ月が過ぎ、ようやく原稿を印刷所に入稿した。大きな達成感とささやかな虚脱感を感じながら、これまでのことを思い起こす。
悪戦苦闘して泣きながら原稿の構成作業を行った「百姓」はもとより、衛星劇場や大林宣彦監督事務所、尾道を案内してくれた方々など、多くの人の協力と励ましがあってこそ、このプロジェクトが達成できたのだと思う。
本書『キネマの玉手箱』の主役はもちろん大林宣彦監督である。その人生哲理には何年も前から深く感銘している。その本書を内容をより際立たせてくれたのが、「あとがきにかえて」を引き受けてくれた是枝裕和監督だった。「あとがきにかえて」の執筆依頼をするが、事情によりインタビュー形式で、ひとまず当方で原稿を書き起こした。その原稿を是枝監督はくまなくチェックした。もちろんすんなりOKとなるとは思ってはいなかった。
戻ってきた原稿を見て、私は思わず「うわー!」と声を上げてしまった。赤字がびっしり、しかも自ら書き直したところも…。すべて是枝監督らしい表現に変わっていた。それにより文章にリズム感が出て来た。さらに約3,500字の中でストーリーが編み出されていた。原稿を見た「鬼」は「さすがは世界の是枝監督だ」と喜びながら(?)、DTP担当のY氏と修正の作業を進めていく。Y氏も是枝監督の書き込みを楽しみながら(?)、修正作業を進めてくれた。修正原稿に是枝監督はさらに推敲を重ねる。その行程を見ているうちに、「あとがきにかえて」の文章に魂が吹き込まれていくのを感じた。是枝監督の作品づくりの一端が垣間見られた瞬間だった。
こうしてすべての原稿が整い、入稿が完了した。
多くの人のエールを背に受けた「人たらし」は、さらなるステージへ邁進するのみである。

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