『送別歌』の見本が届きました

2021/1/27/10:34

昨日、宝田明さんの著書『送別歌』の見本が届きました。
当初、年内発行というプランもあったのですが、結果的には今月30日の発行になってしまいました。
86歳になる宝田さんの波乱万丈な人生、65年以上になる俳優生活を綴ったものですから、丁寧に読み込んでいくと、次々と気にかかるところが浮かび、それを一つひとつ解消するのに予想以上の時間を費やしました。

『送別歌』を出版するにあたり、私個人はさまざまな因縁を感じています。まず宝田さんが私と同郷であったこと。そのため疎遠になっていた故郷の友人や先輩からいろいろなサポートやアドバイスをいただきました。
『送別歌』の構成を担当してくれた安木由美子さんは2009年にブログを通じて知り合ったライターさんです。私はこの人の“哲学的な感性”が好きで(“哲学的な感性”とはなんぞやと思いつつ…)、いつか安木さんの観点で構成した本を出したいと考えていました。ユニコ舎で出す2冊目の本で、それが実現ことを大変嬉しく思います。
『送別歌』の装丁者である芳本亨さんは、かつて同じ雑誌の編集部で働いた仲です。「真摯」という言葉が服を着て歩いているような方で、しかも冷静沈着、何事にも動じません。
組版をする前に原稿がきちんとしていれば、修正箇所は少なくてすむいうのが私の信条ですが、『送別歌』は組版後も膨大な数の朱字を入れました。立腹せず最後まで付き合ってくださったことに心から感謝しております。
『送別歌』は宝田さん直筆の題字を活かすべく、本の仕様にもこだわり、仮フランス装と題字の特殊加工を試みました。凝ったデザインのカバーや帯にすることはやめて、余計なものを削ぎ落したシンプルな体裁にしようと考えていましたが、芳本さんが丁寧に作り込んでくれたため、想像した以上の美しい仕上がりになったと自負しております。

さて、昨年1月に起業したユニコ舎ですが、この1年間は「暗中模索」の状況でした。亡き大林宣彦監督の著書『キネマの玉手箱』を出版してから8カ月以上が経ちますが、その間なにもしていなかったわけではありません。コロナ禍のために見直しを余儀なくされた企画もありました。
2021年、ユニコ舎は「暗中模索」から「試行錯誤」の段階になることをめざしています。今春には詩画集と俳句随想録を出版する予定です。
これからも、どうか一層のご指導とお力添えを賜りますよう、お願い申し上げます。

ユニコ舎代表 工藤尚廣

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