映画音楽はかく語りき

かつて映画少年だった“僕”が時をかけて体験する、映画と音楽の奇想天外な歴史物語

湘南ビーチFMの映画音楽番組「seaside theatre(シーサイド・シアター)」(2020~)の構成・DJを担当している志田一穂(ジョニー志田)がタイムマシーンに乗って「映画音楽」の歴史を巡る旅へ。同行者は1984年の志田一穂(中学生の丸刈り少年)。映画が大好き、映画を愛してやまないふたりの“志田一穂”が「映画」や「音楽」、そして「映画音楽」の魅力にかつてない斬新な手法でアプローチしていく。


著者 志田一穂
出版年月日 2022年4月27日
ISBN 978-4-9911368-7-0
仕様 四六判・ソフトカバー
頁数 382頁(本文)
定価 1,800円+税


目次

はじめに

SCORE01 起点となる「僕」にとっての1984年
2021年の今の「僕」と、あの頃の「僕」
ビデオという存在が映画に影響するワケとは
「もっともっと映画をたくさん観ましょうね」と淀川さんは言った
ヒッチコックとハーマンの関係性が「映画」を創る
丸刈り少年はおにぎりを食べながら二番館を目指す
A面で恋をしたあと、B面はどこへ行くのか
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

SCORE02 映像と音の関係、その「始まり」について
映写機とレコード・プレイヤー、その曖昧な繋がり
最初は「ミッキー・マウス」だったのさ、とおじさんは教えてくれた
それはタイム・パラドックスなのか、それともデジャ・ヴュなのか
サウンドトラック――そもそもの意味と定義とは
自分はただ、映画で聴いたあの音楽を聴きたいだけなのに
“ザッツ・エンターテイメント”に荒れ狂う神風
雄叫び轟く『キング・コング』の新しい夜明け
わざわざ逆にしてリアルを求めた『レ・ミゼラブル』
風に吹かれてここまできたら、いつしか時代が変わってた
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

SCORE03 「新たな波」はかく語りき
意外なトライアルが映画音楽の可能性を広げる
アヴァンギャルドさ匂わせながら
「引用」することにより、映画を活性化させる試み
「ヌーヴェルバーグ」という「新たな波」はこうして語り始めた
新たに起こしたアクションによる強烈な余波
そしてパリがそうだったように、アメリカは燃えているか
揺れるアメリカの影、震えるアメリカの叫び
アメリカン・ニュー・シネマ、その堂々たる蜃気楼よ
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

SCORE04[前編] 70年代の複雑さを問う試み
すべての「なぜ?」に、あてのない夢を観る
さらば、映画よ……テレビっ子、世にはばかる
マニアの連鎖反応が、ついに世界を動かし始める
音楽業界からの「新たな波」、そのためのある「企て」
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」
旅の途中のINTERMISSION

SCORE04[後編] 80年代の複雑さを問う試み
その新種は「ミュージック・クリップ」と名乗りをあげた
マイケル・ジャクソンが狼男とゾンビになった日
音楽映画――その曖昧な存在と80年代の終焉
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

SCORE05 時をかけるスクラップ&ビルト
自らを見つめ直す、アイデンティティー・クライシス
「マス」から「個」の時代へ向けての警鐘
ミニシアターは映画の教室であり、あの頃の大切な居場所だった
その男、ネクスト・オタク・ジェネレーションにつき
存在の耐えられない「引用」
DJたちは、その捨てられたレコードを「レア・グルーヴ」と呼んだ
敬う気持ちをビジネスにする方法
リバイバル&リスペクトを、さらにリミックスという定義でコピペする
壊しては修復作業を繰り返すスクラップ&ビルトの時代
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

SCORE06 いつか見た、未来は今
迫りくる世紀末とミレニアムの狭間に
オタクたちの帝国、からの逆襲
それは、オタクたちの進撃といえるものではなかったか
コミュニティにて結託する仲間たち、その強き絆の時代
多様性によるサウンドトラック・アプローチ
これがリアルな現実であり、本気の現実というものか
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

SCORE07 それでも、希望の光を見出すために
2010年代の完璧さ、という試練
この落書きを管理するヤツは誰だ
ぼやけゆく境界線になにを見るのか
10年代の大木、そこから育ちゆく無数の葉
時を経て、思うことはいつも
そして20年代に、ヤツは舞い降りた
ヒッチコックと淀川さんが言っていたじゃないか
旅路の果てに、希望の光を
作品&トピックINDEX「裏・映画音楽はかく語りき」

[本書出版までの備忘録]


志田一穂/johnny SHIDA
1970年、愛知県名古屋市生まれ。大東文化大学文学部卒。10代の頃から映画製作、音楽制作、文筆活動に明け暮れ、20代より映像ディレクター、映画プロデューサー、音楽ディレクターを本職として多くの作品を手がける。その傍ら、自作の小説をインターネット上で発表したり、映画・音楽の解説書や、大林宣彦監督作品、内田裕也出演作のライナーノーツなども執筆。著者名は2001年からのペンネームで、大林監督の8ミリ映画『絵の中の少女』に出演しているご自身の役名、志田一馬から頂戴したもの。湘南ビーチFMの映画音楽番組「seaside theatre(シーサイド・シアター)」(2020~)と音楽番組「波の数だけAOR」(2021~2022)の構成・DJを担当。ラジオ・ワークについてはジョニー志田名義で活動。

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