ユニコ舎では美術関係の作品集を出版していますが、調布市在住のNさんから『彩-SAI-』と『刻-TOKI-』についてのご感想をいただいたので、ご本人の承諾を得て、全文を公開します。
『刻』と『彩』、どちらも素晴らしい作者による素晴らしい作品で、私は何度見ても「いいなあ」とため息交じりでつぶやいてしまいます。この2冊を見たとき、最初に思ったのは、『刻』は「着物」、『彩』は「帯」でした。
まず『刻』。実に細かい図柄であっても、とても大胆な印象で、作者の井上勝江さんのスケールの大きさを感じました。お寺の襖絵になっている写真に見入ってしまいました。残念ながら我が家にはそんな立派な襖はありませんが、この絵がカーテンとかテーブルクロス、あるいは食器にあったら、どんなに贅沢な日常でしょうか。『刻』にある絵を日々の生活で使えたらとても心豊かな日々を過ごせるだろうなと思ったのでした。身にまとうことができたらさらに素敵。夏のワンピースなんかを娘に着せてみたいな、とも思いますが、私が着るなら、やっぱり着物。江戸友禅の修行をされた井上さんの絵はどれをとっても着物になりそうな気がします。古典柄のようでもあり、斬新なデザインでもある着物は多分誰が着ても似合うと思います。

そして『彩』。壁に飾ったら部屋が一気に明るくなるでしょう。本の絵に添えられた作者の毬月絵美さんの言葉との相乗効果でしょうか、その絵が描かれた町の風景が飾った部屋に現れそうです。Tシャツにプリントしたら素晴らしくオシャレな一着になりそうです。私が着るには、ちょっと勇気が要りそうですが。でも、これが帯の模様だったら、躊躇なく締められます。「レイニープロムナード」は夏の青い着物に、「放浪記」は観劇のとき紬に合わせてもいいかな、そして「石段コンチェルト」でサクレクール寺院の周りを歩いて(というのは同じことを考える人が多そうだからやめておきましょう)、などと空想してしまいます。

Nさんが2冊の作品集を「着物と帯」として表現してくださったことは、作品集をディレクションした側にとって新たな発見でした。まったくテイストの異なる2冊の作品集の親和性に気づかせてくれたことに心より感謝いたします。
ユニコ舎は今年で6年目を迎えましたが、Nさんの言葉に、この2冊の作品集に込めた創業時の熱意を思い出しました。初心に返り、「彩と刻」のページをふたたび開いてみようと。