大林監督の深層が語られている

2020/4/27/11:49

ユニコ舎に『キネマの玉手箱』の感想が寄せられました。投稿者の了承を得たうえでここに掲載させていただきます。神奈川県横浜市のYさん、ありがとうございました。


『キネマの玉手箱』を受け取り、ワクワクしてパッケージを開け、大林監督の優しい風貌のイラストをしばし眺めました。
流れるように読みやすい文章でとてもわかりやすく、大林監督のソフトな語りが聞こえるようでした。

まだ1度通読しただけですが、わたしには「非戦の章」が印象的でした。大林さんご自身の深層が語られていると感じました。

本当の勇気は戦わないこと
正義をかざさないこと
世の中が平和なら映画はいらない
映画はジャーナリズムだ

そんな言葉から、大林監督の芯がわかりやすく伝わります。
そして、これらの言葉は、ウイルスに翻弄されているこの時代の人類にとっても、たいへん示唆に富んだ言葉だと感じます。
人類はウイルスと戦って勝つことなどできません。
冷静に落ち着いて対処することが必要なのに、ウイルスに対する憎しみや恐れが形を変えて人を襲っています。
大林監督なら「コロナには立ち向かうのでなく、生き物として並んで暮らしたい」とおっしゃるかもしれません。

物事に対して時間をかけて取り組み、深くじっくり考えることの大切さに満ちた本でした。2度、3度と読むうちにまた違う面に出会えることも楽しみです。
芸術の虚構性の美しさと楽しさと人に与える希望を、今の世界の現実を鑑み、改めて愛おしく思いました。
是枝監督のエッセイも素敵でした。ぜひ英訳もされて、広く世界に読まれることを願っています。

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