大林監督の最後の授業のような本

2020/5/16/5:42

ユニコ舎に兵庫県姫路市のKさんから『キネマの玉手箱』の感想が寄せられました。Kさんの了承を得たうえで、ここに掲載させていただきます。Kさん、ありがとうございました。


「尾道の風景だ」で始まる『さびしんぼう』の主人公、ヒロキの見ている尾道水道と尾道の風景が一番好きで、ここ7年ほど、毎年見に行きます。

駅前のお花屋さんで花を選んでもらい、美術監督をされていた薩屋さんのお墓参り、が定番です。
そこから見下ろす風景が映画と同じなのです。

大林監督の映画の世界はとても美しく、またユーモラスで、たくさん夢を見せて頂きました。

『キネマの玉手箱』
到着した日に読み終えました。

「む、難しいかも…」というのが読みはじめの印象でした。

「映画通でないと分からないのでは?」と思うような映画の歴史、古き良き映画の数々。

時系列も前後するので、頭に入れながら読み進めるのに、少し苦労しました。

知らないことも多かったのですが、名作がたくさん紹介されていて興味深いです。

『チャップリンの独裁者』など「軍服を着て反戦を掲げるチャップリン」は今までイメージになかったので観てみたい!

尾道出身の小津安二郎監督の『東京物語』は友達が絶賛していました。(若いのに…)

黒澤監督の『夢』。絵画のように美しいけれど複雑で、インパクトのある作品だったことも思い出しました。

映画って、次の世代へと受け継がれて行ってるんですね。

そして、『海辺の映画館』を含む、最近の大林映画の根底に流れる「戦争」という重いテーマ。

『キネマの玉手箱』を読んでいると、監督の「非戦」と「平和」を叫ぶ声が聴こえて来るような気がします。

「戦争」と「映画」の切っても切れない関係も何となく理解できたと思います。

戦争をテーマにした映画は恐い、というイメージがあり避けて来ましたが。

名作『花筺』をはじめ『長岡花火物語』『野のなななのか』も是非観てみよう、という気持ちになりました。

この『キネマの玉手箱』は、監督の最後の授業のような本でした。

そして、パートナーである大林恭子さんの深い愛情に感動します。

監督が古いピアノで弾く『別れの曲』を特番で聴きましたが、調律されてないのでヒドイ音でした(笑)。

本の中でご本人もおっしゃっていますが、監督の映画に良く合うと思います。
『海辺の映画館』が楽しみです。

この春。尾道映画祭で大林監督に会える予定でした。
叶いませんでしたが、とてもワクワクする毎日をプレゼントして頂きました。

大林宣彦監督のご冥福を心よりお祈り致します。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする